失業9日前:ハローワーク初訪問

まだ失業者ではないが、失業したらどうなるのかが知りたくて、最寄りのハローワークへ行く。建物の中は、大勢の求職者で溢れかえっていた。改めて、雇用情勢がよくないということを実感する。とりあえず受付に行き、「月末で失業予定であるので、聞きたいことがあって来た」と伝える。番号が書かれた紙をもらって、しばらく待つ。

私の番号が呼ばれた。対応にあたってくれたのは30才くらいだろうか。若い職員だ。まず、聞きたいことは、失業給付について。このために、毎月の給料から失業保険を払っていたのだ。勤続年数や年齢によって異なるが、私の場合、半年間は給付されるらしい。ただし、給付中は求職活動に専念する義務が生じ、それ以外のアルバイトや手伝いなどをして求職活動に専念できないと認定された場合、その日は給付が停止されるとのこと。

次の疑問。小説家は出版社との契約を失ったとしても、本人が断筆宣言をしない限り小説家でなくならないように、科学者である私も収入のあてがなくなったとしても、科学者であり続ける。失業したとしても、研究は続け、論文を書き、学会で発表するとしたら、失業していない時とそう変わらない日々を送ることになる。言ってみれば、これらは求職活動の一環のつもりだが、これをもって求職活動に専念してない、とみなされることになれば、今後、アカデミックなポジションを狙うことは不可能になる。

「調べ物をしたり、論文を書いたりするのは、家で勉強しているってことですよね?」

ああ、私の仕事は世間一般では労働として認められていないのだな、と改めて認識する。ただし、学会発表などで、出張を伴う場合は4時間以上拘束されるので、その日は求職活動に専念できなかった、とみなされる可能性があるとのこと。

3つ目の質問。失業給付を受けるためには、4週間に2回は求職活動(応募や面接など)を行わないといけないらしいが、アカデミックなポジションの求人がハローワークにあるとは思えない。ハローワークを通したものでないと、求職活動として認められないのか。この答えは否。JRECINなどの求人に対して応募したものでかまわない。ただし、ハローワーク側が、求職活動の実態を調査することがあり、応募を出した大学等の連絡先を申告する必要がある。これに基づいてハローワークから問い合わせが行って、選考が不利になるかどうかまでは分からない。

最後の質問。自ら起業する場合、失業給付はどうなるのか。「起業の準備を始めた時点で停止されます。」「起業の準備と言っても、色々な段階がありますよね。漠然と構想を練るだけでもだめですか?」「基本的には、ご本人からの申告ですが、例えば役所に開業届を提出するとか、外部へ意思表示したときは、準備に着手したとみなされます。」とのこと。なるほど。あれこれ考えるだけなら問題ないらしい。

まとめると、失業しても、半年間はどうにか食いつなぎながら、研究を続けることができ、アカデミックなポジションを含めて狙うことは可能、ということは分かった。対応してくれたハローワークの職員に礼を言って立ち去る。

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